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ソーシャル・コミュニケーションリーダー養成講座とは

企業における会議、学校やワークショップ等の学習の場、高度な専門家同士の知的生産の場といったさまざまなコミュニケーションの場面において、個々の多様性を活かすコミュニケーション環境をデザインし、ファシリテートすることのできる支援人材を養成する講座です。

それぞれの専門家によるリレー講座形式となっており、理論と実践、科学とアートのクロスオーバーによって学び、様々なフィールドで越境的・横断的に活躍する力を育みます。

講座内容・日程

【講座の特徴】

  1. 理論と実践を両輪として学ぶ
  2. 科学とアートを交差して学ぶ
  3. 多様なバックグラウンドを持った人々と学ぶ


【カリキュラム】

42時間のカリキュラムは、「演習」「研修」「実習」の3つの科目で構成されています。

演習科目
(21時間)
大学でコミュニケーションやアクティブラーニング、教育学について研究・実践をしている研究者や、プロの芸術家による講義を受ける科目です。理論とアクティビティを通じてコミュニケーション、ファシリテーション、学習についての知見を得ることをねらいとしています。
研修科目
(6時間)
ファシリテーターとして実際に現場で活躍されている方や、前期修了生の方々の実践を体験する科目です。現場でおこなわれている実践を体験することで、自身が「実践者」側に回るときのヒントとアイデアを獲得することをねらいとしています。
実習科目
(15時間)
これまでに学んだコミュニケーションデザイン技法を実際に用いて、受講生同士の相互アクティビティを実践します。デザイン技法を実際に活用することで「使える技術」として体得することをねらいとしています。



【身につける能力】

  1. 受講生本人が、コミュニケーション環境のデザイン、ファシリテーションの方法論を理解し、習得した技能を自らのフィールドで活用できるようになること。
  2. 受講生同士が、知と実践のネットワークを自ら構築し、継続的にコミュニケーションリーダーとして相互研鑽できるようになること。


【講座日程詳細】

日程 2022年7月9日(土)- 9月10日(土)

日程 区分 時間・講師 タイトル 内容
7月9日(土) 演習 10:00〜13:00
蓮行
演習1
『ワークショップとは? 演劇を活用したアクティビティとファシリテーション基礎編』
「ワークショップ」についての基礎講義と演劇的手法を用いたアクティビティを体験し、動的判断による場のデザインと理論と実践を学ぶ。
研修 14:00〜17:00
奥野美里
研修1
『可視化で共同の場をつくる”グラフィック・ファシリテーション”』
ワークショップや会議、対話の中での中で生まれた思いや感情、出来事、考えなどを、絵や文字で表現し見える化することで、共同の場づくりをサポートする「グラフィック・ファシリテーション」の技法を体験する
実習 講義のふりかえり
7月16日(土) 演習 10:00〜13:00
いいむろなおき
演習2
『マイムから学ぶ非言語コミュニケーション』
マイム実践を通じて自身の身体・動作を意識的に観察する。表情・動作・振る舞いによる非言語コミュニケーションのエッセンスを学ぶ。
演習 14:00〜17:00
丸本瑞葉
演習3
『Emotion Driven - 感情を重視した新規事業創出プロセス 』
教科書で示されている新規事業創出方法論を用いて実際に新規事業創出を実践しても、事業化に至らないケースは多々存在する。
実際の使用者の感情を捉えるアイディエーション、プロトタイプ開発、感情優位な議論への誘導からなる新しい新規事業創出方法論を学び、体験する。
実習 講義のふりかえり
7月30日(土) 演習 9:30~12:30
塩瀬隆之
演習4
『仲間を増やす問いと減らす問いのデザイン』
チームを率いるときに仲間が増えて鼓舞するような問いとはどのようなものか。心無い問いかけによって仲間が減り意気消沈させるような問いとはどのようなものか。会議参加者の思考を刺激する「深い問い」のデザイン、秘められたアイデアを引き出し、創造的対話の場を生み出す手法を体験する。
演習 13:30~16:30
城下英行
演習5
『まなびのための防災教育のデザイン』
防災に代表される、必要とされつつも必ずしも取り組みが活発でない活動を活性化するためには、これまでの「知識伝達型」の教育だけでは不十分である。何かのために学ぶのではなく、学びそのものを目的とするような教育が必要である。「防災活動=まなび」の防災教育とは何か?いくつかの事例を紹介した上で、その技法を体験する。
実習 16:30~17:30 コミュニケーションデザイン相互実践
8月6日(土) 研修 10:00〜13:00
前期生
4期生によるワークショッププログラムを体験
実習 14:00~17:00 コミュニケーションデザイン相互実践
8月27日(土) 演習 10:00~13:00
岡田浩
演習6
『臨床研究COMPASSプロジェクトから考える実装プロジェクトの進め方』
日本で最初の薬局薬剤師による介入研究:COMPASS研究の事例から、多くのステークホルダーを巻き込みながら社会実装プロジェクトを進めていった方法について紹介する。また本研究の背景にある「健康行動科学」や「行動経済学・ナッジ」の手法についても紹介する。
実習 14:00-17:00   コミュニケーションデザイン相互実践
9月10日(土) 演習 10:00-13:00
蓮行
演習7
『ワークショップとは? 演劇を活用したアクティビティとファシリテーション応用編』
演劇ワークショップの実践を通じて、演劇ワークショップのメカニズムデザイン・ファシリテーションを学ぶ。
実習 14:00~17:00
蓮行
コミュニケーションデザイン相互実践 発表

※各日の講座内容は、変更になる場合があります

(エクストラ講座)
*本講座を欠席した受講生向けの補講講座となります。
9月17日(土)10時〜13時 / 14時〜17時

 

講師プロフィール

仮

いいむろなおき
マイム俳優/演出家/振付家

パリ・マルセル・マルソー国際マイム学院卒業。ニデルメイエ国立音楽院コンテンポラリーダンス科最上級クラス首席卒業。
関西を拠点に国内外で舞台出演、マイム指導・演出等幅広く活動中。
いいむろなおきマイムカンパニー主宰。京都で無期限ロングラン公演を続けるノンバーバルシアター「ギア-GEAR-」マイムパート出演中。
東京2020パラリンピック開会式出演。

mime1166.com


仮

岡田浩(おかだひろし)
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康情報学分野 特定准教授

教育学部卒業後、小・中学校講師を経て、2005年40歳で薬剤師免許取得。薬局勤務の経験から2011年国内初の薬局でのランダム化比較試験COMPASS研究を実施。その後京都大学、カナダ・アルバータ大学等でも薬局での健康支援についての研究を実施した。2019年カナダより帰国し、2022年より現職。社会健康医学博士(DrPH)

要旨
社会の高齢化の進行と生活習慣の変化に伴い、糖尿病や高血圧などの非感染症疾患(NCDs)患者は増え続けている。この疾病構造の変化は、従来の患者指導を中心とした急性疾患モデルから、患者の自己決定を尊重し「エンパワーメント」する、自己決定をより支援する医療モデルに変化してきている。この変化は地域の薬局の薬剤師の業務も大きく変えつつある。従来の薬物療法を適切に実施するために「服薬指導」を行うだけでなく、病気を持ちながら生きる地域住民に対し、相談に応じながら健康的な生活を支える業務へ拡大している。
本講座では、この薬局業務の可能性を研究で明らかにした、生活習慣改善支援研究:COMPASS研究の事例を使い、多くのステークホルダーを巻き込みながらプロジェクトを進めていく方法について考える。





奥野先生

奥野美里(おくの みさと)
グラフィック・ファシリテーター
生涯学習財団認定ワークショップ・デザイナー(マスター)

場可視化による場づくりの技法、グラフィック・ファシリテーションを活用し、まちづくりや組織開発、オープンイノベーション、マーケティング等、異なる背景・文脈を持つ人々が対話する場、共創する場に関わる。
最近の関心は、グラフィック・ファシリテーションの対人援助シーンでの活用。「受け止められたという実感」「共同注意・共同生成」に着目。エンパワメントと自己決定支援のための手法としての確立を目指し、研究を進めている。
共著に「描いて場をつくるグラフィック・レコーディング 2人から100人までの対話実践」(学芸出版)がある。





塩瀬先生

塩瀬隆之(しおせ たかゆき)
京都大学総合博物館准教授
専門:システム工学、インクルーシブデザイン、コミュニケーションデザイン

機械学習による熟練技能伝承のシステム化に関する研究で博士(工学)。「伝わるとは何か?」というコミュニケーションの根源的課題を探究しながら、組織の創造性と多様性を活かす問いのデザイン手法を確立する。対面のみならずオンラインでのワークショップファシリテーションの実績を多く重ね、いずれのデジタルツール上でもワークショップが可能。経済産業省産業構造審議会イノベーション小委員会若手WG座長(フルオンライン)、大阪・関西万博日本館基本構想有識者WG座長ほか。

[著書]塩瀬隆之「インクルーシブデザイン:社会の課題を解決する参加型デザイン」学芸出版社,2014年
安斎勇樹, 塩瀬隆之「問いのデザイン : 創造的対話のファシリテーション」学芸出版社,2020年





城下先生

城下英行(しろしたひでゆき)
関西大学大学院社会安全研究科・社会安全学部准教授
専門:防災教育、防災学習論

専門分野は防災教育、防災学習論。知識・技術の一方向の伝達という防災教育観の問題点について防災と学びの両側面から検討し、そうした防災教育観をも包摂する、より拡大された防災教育のあり方について模索している。現在は、本物の防災活動に参加することそのものを防災のまなびと捉え、そうしたまなびの機会へのアクセスの提供が防災教育であるという立場に立ち、実践的な研究に取り組んでいる。また、諸外国における防災活動の中から防災のまなびを発見するための国際的な研究も行っている。

[著書] Shiroshita, H. (2020) Do Developed Countries Learn DRR from Developing Countries? In: Yamori, K. (ed.) Disaster Risk Communication. Integrated Disaster Risk Management: Springer, https://doi.org/10.1007/978-981-13-2318-8_7
城下英行(2022)「COVID-19が学校に与えた影響」、関西大学社会安全学部(編)『検証 COVID-19災害』、ミネルヴァ書房。
[論文] 城下英行・林武文・河野和宏・奥村与志弘(2022)「津波AR制作と地域での活用による防災学習」、『なにわ大阪研究』、第4号、pp.1-12。




丸本先生

丸本瑞葉(まるもと みずは)
株式会社SciEmo 代表取締役 / CEO

関西大学商学部卒業、京都大学経営管理大学院MBA取得。メーカーにてITソリューションの企画開発に6年従事。その後、京都大学でデザインや新規事業創出論を専門に研究し、感情を重視した新規事業創出方法論を開発する。MBA取得後、メーカーでM&Aや事業戦略に従事したのち、株式会社SciEmoを設立。新規事業のサポート、事業提案、新規事業ワークショップ運営を提供しながら、自社でもAIを活用したエンゲージメントサービスを開発している。









rengyo

蓮行(れんぎょう)
劇作家、演出家、俳優、劇団衛星代表
京都大学経営管理大学院特定准教授

専門は演劇教育、コミュニケーションデザイン。「小劇場での演劇でしか絶対に表現できない舞台表現」を極めるべく、1995年に劇団衛星を設立。京都を拠点に、既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く行い、茶道劇「珠光の庵」や裁判劇「大陪審」などの代表作を全国で上演する。同時に、演劇の持つ社会教育力に着目し、そのポテンシャルを利用したワークショップ事業を多く手がける。並行して研究活動に取り組み「演劇のないところに演劇を送り込む」活動を幅広く展開している。

[著書]蓮行,平田オリザ「演劇コミュニケーション学」日本文教出版,2016年 / 平田オリザ,蓮行「コミュニケーション力を引き出す:演劇ワークショップのすすめ」PHP新書,2009年